旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
 そうしてびくつきながらもなんとか出口に到着し、外の明るさに包まれると、美咲は途端に自分の今の格好を意識してしまった。美咲はまだしっかりと聡一の腕と手を握っている。抱きつくまではいかないまでも、明らかに美咲のほうからくっついているような格好だった。一度それを意識すると急に恥ずかしさが襲ってくる。美咲は思わず触れていた手を離し、目の前で待っていた千佳のほうへ走って行ってしまった。

「ちょっと、なんで手離しちゃったの!」
「だって、外出たらなんか恥ずかしくなって……」
「もう、折角繋げてたのに……」

 自分でももったいないことをしたと思う。全部離さなくても普通に手を繋いだままでいればよかったと後悔してしまう。

「まあ、いいや。あとで最後のダメ押ししてあげる!」

 その言葉に、きっと千佳はまた同じようなことをしてくれるつもりなのだろうと美咲は思ったが、このあと千佳がやろうとしていることは美咲の想像を遥かに上回るものだった。
< 50 / 177 >

この作品をシェア

pagetop