旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
 聡一の気配がなくなるとなんだか心もとなくなる。少し心細い気持ちでまた痛みに耐えていたら、突然ふわっと柔らかい布で包まれた。

 聡一がタオルケットをかけてくれたのだ。これを取りに行っていたらしい。

「え……ありがとうございます」
「寒かったら言ってください。エアコン調整しますから」

 そう言うと聡一は美咲のすぐ近くに腰を下ろした。そして、優しく美咲の腰を撫ではじめる。

 その予想外の出来事に美咲は思わず体をピクリと跳ね上がらせてしまった。

「すみません。触れられると痛いですか?」

 あんなに優しく触れてくれたのだから、そんなことあるわけない。むしろ腰を撫でられると痛みが和らぐ。美咲はただ驚いてしまっただけだ。

「いえ、気持ちいいです」
「うん。では、さすって構いませんか?」
「はい。ありがとうございます」

 聡一はまた優しく腰を撫ではじめた。ものすごくありがたい。もちろんそれだけで痛みが全部消えるわけではないが、あるのとないのでは大違いだ。聡一の手は温かくてとても気持ちいい。そのぬくもりに縋りたくて、美咲は気づけば、腰を撫でているのとは反対の聡一の腕にしがみついていた。

「寄りかかれそうならどうぞ寄りかかってください」
「あ、すみません」

 聡一の言葉で自分が腕にしがみついていたことに気づき、美咲は慌てて手を離した。

「いいえ。あなたが甘えてくれたほうが、私も安心しますし、嬉しいですから。ね?」

 どうしてこの人はこんなに優しいのだろうか。彼の声が優しくて温かくて、今はもう全部預けて素直に甘えてしまおうと思った。
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