神獣使いのお気に入り
「貴族の居住区は目通りの印が必要だ。何か渡されているか?」
メイドはポケットからメモを取り出す。
わたしの正体には気付いてないらしい彼女。簡単に相手の情報を渡すとは、、
受け取ったメモを見てその名前に驚いた。
ユリウス ヴァーミリア
「ユリウスから受け取ったのか??」
あまりの衝撃に思わず反応してしまった。
「ユリウス様に部屋の清掃を仰せつかりました」
淡々と返す彼女に他意は見えない。確かに身繕いもせず、メイド服だ。だが、湯浴みをすませたのかほのかに香る甘い匂い。
あの見た目なのにユリウスには浮いた話もなく、王からの縁談も断るような堅物。そんな認識をしている人物に湯浴みあがりのメイドが訪ねる。
好奇心が抑えきれず、彼女を案内する事にした。