神獣使いのお気に入り
ユリウス様は少し焦った様子で駆けてきた。
いつも余裕な様子なので、こんな表情も持ち合わせているなんて驚きだ。
高貴な方の腕を払うと私の身体を抱き寄せ自分の体とマントで隠してしまう。
「ユリウス様、親切に連れてきてくださったのです。せめてお礼を…」
「礼は不要だ。おそらく好奇心で連れてきただけだ」
ユリウスには心のうちはいつも先読みされる、とフィリップは心の中で苦笑した。
「わるい虫が白狼の姫につかないよう一緒に着いてきたのにひどい言われようだな」
「頼んではいない。フィリップ殿下は早く南棟に戻られよ」
自分と同じサファイアの瞳の奥に憤りを感じる。
結構、本気なんだな。
「はいはい、帰りますよ。フィリカ、また遊びにおいで」
美しい笑顔を残してフィリップは元来た道を戻っていった。