神獣使いのお気に入り
ヨルが連れてきたのは天空に浮かぶ緑地地帯だった。
所々に泉が湧き、森のように針葉植物が木陰を作っていた。
白狼はもちろんペガサスや竜もおり、みなが心地良さそうに休憩している。
『少し横になるが危険は察知できる。近くにいておくれ』
促されてヨルの体を枕に草原に寝転ぶ。
こんな気持ちいい場所があるなんて。
毎日王宮で働くことは楽しいし、白狼の子供たちの面倒をみるのは好きで休みなく働いていたフィリカにとってこんなに穏やかな時間を過ごしたのは片田舎の実家で暮らしてた以来だった。
「ヨル様、素敵な場所に連れて来ていただいてありがとうございます」
王都からは馬車で2日ほどかかるクライストで暮らす兄妹を思い出し、少し切なくなる。
『兄妹はクライストにいるのか?』
犬のようにペロッと舌で頬を舐め慰めてくれるようだった。
「私の家族はクライストの広大な土地で作物を育ててるんです。花々も育てていて週末のマーケットで販売とかもしていて…」