初デートのすすめ
「ちょっと待ってて!」
そう言うと、賢斗は走ってどこかへ消えた。
人通りの少ない路上に1人になり、急に心細くなる。
――もうダメ。愛想尽かされた。
そう思ってうずくまって泣いていると、賢斗が猛ダッシュで戻ってきた。
「とりあえずこれ、貼っとこう。」
手に持っているのは真新しい箱に入った絆創膏。
「ごめん、コンビニで買ったから、傷薬とかはないけど…」
そう言いながら、血が滲んでいるところに優しく絆創膏を貼ってくれる。
暑い中走ってくれたからだろうか。賢斗のおでこには少しだけ汗が滲んでいる。
「ありがと…」
そう御礼を言うと、賢斗の優しさにまた泣けてきた。萌がまた涙を流しているのを見て、賢斗が慌ててフォローする。
「まだ痛いよね?ここ暑いし、さっきのお店で休んでも…」
「ごめんね、常磐君…」
「え!?」
「ごめんなさい…」
――こんなに気を遣わせて、デートを台無しにして。失敗ばっかりの私、ダメダメだ…。