初デートのすすめ
「私も…常磐君が好き。」
「ホント…?」
萌の言葉を聞いて、顔を少しだけ上げた賢斗の表情はまだ不安気だ。
「うん!」
萌が笑ってそう言うと、賢斗は「よかったー」と安堵の溜息をつきながら呟いた。
「俺、佐々原さんに付き合ってって言ってもらった時も、嬉しすぎて俺も好きって言いそびれてたし。せっかく付き合えたのに緊張して前みたいに全然喋れないし。挙げ句、店のチョイス、ミスるし。愛想尽かされたかと思った…。」
それを聞いて、萌は「私も」と言って正直な気持ちを伝える。
「私も愛想尽かされたと思ったの。常磐君との初デートが嬉しすぎてパスタ食べれないし、新品のサンダルで来たら靴ずれするし。私ばっかり喋り過ぎだし…。」
「口に合わなかったワケじゃなかったんだ?俺とのデートのためにお洒落してくれたっていうのも、めちゃくちゃ嬉しい。それに、佐々原さんが喋りすぎなんて思わなかったよ。佐々原さんが好きなもののこと知れて嬉しかった。もっと教えてよ、佐々原さんのこと。」