例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
今日一日を振り返っただけでも、色々な人の顔が、次から次へと浮かんでくるが、中でも石垣の表情は、沙耶の胸を疼かせる。
坂月と重なっていた約束の存在を知って、石垣はどう思っただろう。
「どうして、言っちゃったんだろう……」
振り払われた手が、ズキズキと痛いような錯覚に襲われる。同時に大きな後悔の波が、押し寄せてきて、溺れてしまいそうだった。
傷付けたくないのに。
何かを選択すると誰かを必ず傷付ける。
ーーダメだ……もう、難しいことは、考えられない……
冷たくなった髪も気にならないほどの睡魔が突然やってきて、沙耶を眠りへと誘(いざな)う。
とにかくやらなければならないことは何一つ減っていない。
けれど考えれば答えが突如として現れてくれるなんて希望はない。
それなら束の間、眠りに落ちて、明日また考えよう、と、沙耶はあっさり目を閉じた。