A Maze of Love 〜縺れた愛〜
「ナギも早くシャワーしてこいよ。汗だくだろう」
「うん」

 これから、この美しい彼と睦みあうのだ。

 期待で頭がのぼせて、もう写真のことなんて、すっかりどこかにいってしまった。

 ずっと後になってから、その意味を知ることになるのだけれど。

 

「ナギ……」

 大翔は愛の行為のとき、名前を呼び続ける。
 そして、決して目を逸らさずに、じっと見つめてくる。
 
 はじめはとても恥ずかしかった。
 でも愛されている証拠なのだと思えば、身の内から言いようのない悦びがこみあげてくる。
 そして、そんな彼に煽られて、渚もあられもない声を上げてしまう。

 だから二人の逢瀬はホテルがデフォルトだ。
 下宿だとやはり気兼ねしてしまうから。

 ただバイト代でのやりくりだから、安ホテルとはいえ、そうそうしょっちゅう来られるわけじゃない。

 早く一人前になって、大翔と一緒に暮らしたい。
 それが渚の目下の夢だ。
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