極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「うーん、あなた、なんだか勘違いしてるんじゃないかな? 私、奏斗の姉よ」
 ナミの言葉を聞いて、二葉は「え?」と目を丸くした。
「私、大槻奈美(なみ)って言うの。ああ、奏斗と同じ名字だから誤解しちゃったのか」
 奈美は二葉の驚いた顔を見て、バッグから革製の名刺入れを取り出し、一枚抜いた。手を伸ばしてそれを二葉に差し出す。
「あげる」
「あ、ありがとう、ございます」
 二葉は戸惑いながらも両手で受け取った。その四角い紙には彼女の氏名とともに、〝大槻ホールディングス株式会社〟という社名と〝取締役部長〟という肩書きが書かれている。
 大槻ホールディングス株式会社といえば、日本有数の建設会社で、海外でも建設事業を展開している大企業だ。
(まさか大槻って……)
 二葉の心臓がドクンと波打った。
「私は奏斗の実の姉よ。結婚したとき、夫が私の名字である大槻に変えたの。その方が後継者争いで有利だと思ったから。社長である父にとって私の夫は赤の他人だけど、奏斗は実の息子――」
「姉さん!」
 奈美の言葉を遮るように奏斗が声を上げ、奈美は不思議そうな表情で口をつぐんだ。
 二葉は奈美の名刺から奏斗に視線を移して呟くように言う。
「奏斗さんは大槻ホールディングスの御曹司だったの……?」
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