極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
コティリードンのCEOであるだけでなく、大手建築会社の御曹司でもあったなんて。
(私は彼のことをなにも知らなかった)
二葉は視線を落とした。
「え、まさか言ってなかったの?」
奈美の驚いた声に続いて、奏斗の押し殺した声が聞こえてくる。
「言う機会がなかったんだ」
「ふぅん……。まあいいわ。私、今日はタクシーで帰るから、荷物だけ運んでおいて。私の夫ともだけど、彼女ともちゃんと話をしなさいな」
奈美はベビー用品メーカーのロゴがプリントされた紙袋を、奏斗に押しつけるようにして渡した。そうしてゆっくりと大通りの方へ歩いて行く。
「……送るよ」
奏斗は立ち上がって助手席のドアを閉めた。後部座席に荷物を入れて、運転席に回る。
その様子を二葉はぼんやりしたまま眺めた。
「家はこの近く?」
運転席に座った奏斗がシートベルトを締めながら言った。
二葉はゆっくりと首を横に振る。
「住所を教えてくれ」
二葉が答えると、奏斗はぎこちなく微笑んだ。
「世界は狭いな。俺たちは同じ大阪府内に住んでいたんだな」
「そう……ですね」
二葉は奏斗が大企業の御曹司だったことを知った衝撃から、まだ立ち直れずにいた。
奏斗は少し首を傾げて二葉を見る。
「二葉、シートベルトを締めて」
(私は彼のことをなにも知らなかった)
二葉は視線を落とした。
「え、まさか言ってなかったの?」
奈美の驚いた声に続いて、奏斗の押し殺した声が聞こえてくる。
「言う機会がなかったんだ」
「ふぅん……。まあいいわ。私、今日はタクシーで帰るから、荷物だけ運んでおいて。私の夫ともだけど、彼女ともちゃんと話をしなさいな」
奈美はベビー用品メーカーのロゴがプリントされた紙袋を、奏斗に押しつけるようにして渡した。そうしてゆっくりと大通りの方へ歩いて行く。
「……送るよ」
奏斗は立ち上がって助手席のドアを閉めた。後部座席に荷物を入れて、運転席に回る。
その様子を二葉はぼんやりしたまま眺めた。
「家はこの近く?」
運転席に座った奏斗がシートベルトを締めながら言った。
二葉はゆっくりと首を横に振る。
「住所を教えてくれ」
二葉が答えると、奏斗はぎこちなく微笑んだ。
「世界は狭いな。俺たちは同じ大阪府内に住んでいたんだな」
「そう……ですね」
二葉は奏斗が大企業の御曹司だったことを知った衝撃から、まだ立ち直れずにいた。
奏斗は少し首を傾げて二葉を見る。
「二葉、シートベルトを締めて」