極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「どうぞ」
「ありがとう」
 奏斗はゴクゴクと喉を鳴らして水を飲み、大きく息を吐き出した。二葉は奏斗の手からグラスを抜き取り、ベッドサイドテーブルに置いて言う。
「それで、佐久間さんは奏斗さんに『家を訊いたらここだって言うから連れてきた』って言ってましたけど。奏斗さんはどうしてここを自分の家だなんて言ったんですか?」
「そんなことは言ってないし、そもそもあいつは俺の家を知っている」
「ええっ!? じゃあ、どうして佐久間さんは奏斗さんをここに連れてきたんですか?」
 功成が『奏斗がどこに住んでるのか知らない』と嘘をついてまで、そんなことをした理由がわからない。
「……俺がつい本音を零してしまったからだ」
 奏斗は視線を落として答えた。
「本音?」
 奏斗は二葉を見上げて、口元を歪めて言う。
「二葉を諦めたくないって……言ったんだ。そうしたら二葉がどこに住んでるのか訊かれて……。それからさんざん飲まされたことは覚えている。だけど、まさかあいつがここまで俺を連れてきて、置いていくなんて考えもしなかったんだ。このあと顧客と会うっていうのも嘘だ。迷惑をかけてすまなかった。かっこ悪すぎるよな」
 奏斗は自嘲気味に笑った。
 二葉は彼から目を逸らす。
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