極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奏斗は二葉の肩に顔をうずめた。しばらくそうしてから、ぼそりと言う。
「よそよそしいと言うなら、二葉もだぞ」
「えっ、私がですか?」
 奏斗は顔を上げて横目で二葉を見た。
「いつまで敬語を使うつもりなんだ?」
「あ……」
「よそよそしい敬語はやめてくれ」
「ごめんなさ……あ、ごめん、ね」
 二葉が言い直したのを聞いて、奏斗は小さく笑みを浮かべた。それでもその横顔はどこか切なげで、二葉は頬を染めながら言う。
「あの、あのね、安定期に入ったら……いちゃいちゃしてもいいみたいだから……もう少し待ってくださ……待っててね」
 奏斗は顔を起こして、二葉の額に軽く額を当てた。
「わかった。それまでどうにか我慢するよ」
 奏斗の言葉を聞いて、二葉は微笑んだ。
「んー、かわいい笑顔だ」
 奏斗は二葉にチュッと口づけてから、眉を寄せる。
「ああ、やっぱりとんでもない自制心が必要だな」
 ため息混じりに言いながらも、彼が抱きしめてくれることが嬉しくて、二葉は彼の胸にそっと頬を寄せた。 
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