極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
今日はおいしい紅茶を飲みながら、買ったばかりの本を読もうと思ったのだが……カウンター席に紙袋を置こうとしたとき、紙袋の縁が椅子のアームレストに引っかかったらしい。左腕を持ち上げたとたん、紙袋がビリビリッと派手な音を立てて破れ、ペーパーバックが床に散らばった。
「あっ」
静かな店内に騒々しい音が響いて、恥ずかしさに顔が熱くなる。
(最悪……)
二葉はその場にしゃがんで、本を一冊ずつ拾い始めた。
魔法使いや妖精が出てくるファンタジー小説が多いが、中世ヨーロッパを舞台にしたロマンス小説もある。どれもまだ翻訳されて日本に入ってきていない本だ。
三冊拾い上げて膝の上でトンと揃えたとき、左側で誰かがスッと片膝をついた。
『お手伝いします』
落ち着いた低い声に流暢な英語で話しかけられて、二葉は顔を上げた。
そこにいたのは、整った顔立ちをした三十歳くらいの男性だった。
ナチュラルに整えられた黒髪、切れ長の二重の瞳、スッと通った鼻筋、少し薄めの唇は、クールなイケメンの日本人といった印象だ。けれど、ライトグレーのワイシャツにネイビーのネクタイ、カッチリしたダークスーツを着たその姿は、英国紳士のように洗練されている。
「あっ」
静かな店内に騒々しい音が響いて、恥ずかしさに顔が熱くなる。
(最悪……)
二葉はその場にしゃがんで、本を一冊ずつ拾い始めた。
魔法使いや妖精が出てくるファンタジー小説が多いが、中世ヨーロッパを舞台にしたロマンス小説もある。どれもまだ翻訳されて日本に入ってきていない本だ。
三冊拾い上げて膝の上でトンと揃えたとき、左側で誰かがスッと片膝をついた。
『お手伝いします』
落ち着いた低い声に流暢な英語で話しかけられて、二葉は顔を上げた。
そこにいたのは、整った顔立ちをした三十歳くらいの男性だった。
ナチュラルに整えられた黒髪、切れ長の二重の瞳、スッと通った鼻筋、少し薄めの唇は、クールなイケメンの日本人といった印象だ。けれど、ライトグレーのワイシャツにネイビーのネクタイ、カッチリしたダークスーツを着たその姿は、英国紳士のように洗練されている。