極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 温かく満たされた気持ちで、じゃれ合うようにキスを繰り返す。
 奏斗の手が腰の辺りに下りてきて、二葉は笑いながら言った。
「もう、奏斗さん! 朝ご飯、食べ損ねちゃいますよ!」
「んー、俺は朝ご飯より二葉の方がいい」
 駄々っ子のように言って、奏斗は二葉の胸元に口づけた。
「私は――」
 お腹空きました、と言うより早く肌を甘噛みされて、二葉は高い悲鳴を上げる。
「やん、もう、奏斗さん!」
「ははは」
 奏斗が楽しそうに笑い声を上げ、つられて二葉も声を出して笑う。今まで笑えなかったことが嘘のように、楽しい気持ちだった。
 ひとしきり笑ったあと、ふと奏斗は二葉を抱きしめて、ぼそりと言った。
「ずっとこうしていたいな」
 その言葉に、二葉はハッとした。
「……奏斗さんはいつまでロンドンにいるんですか?」
 そろそろと目を向けると、彼は寂しそうな表情をしていた。
「今日までだよ。夜の便で帰国する」
 奏斗は二葉の上になったまま、彼女の肩に顔をうずめた。
 突然別れが迫っていることを知らされて、二葉は急に体温が下がったような気がした。
「そう……だったんですか」
「ああ。出張で来てたから……。二葉はまだ三ヵ月、イギリスにいるんだよね?」
「はい」
「三ヵ月……離れていられる自信がないな」
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