極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奏斗は二葉をギュッと抱きしめたが、二葉に体重をかけないようにごろんと横向きになった。そうして二葉を胸の中に閉じ込める。
「だったら、三ヵ月後、二葉がまた俺に会いたいと思ってくれたなら、帰国するときに連絡してほしい」
 耳元で奏斗の押し殺した声が聞こえた。
「……連絡しなかったら?」
「俺が二葉を探し出す。そして、もう一度出会いから始める」
 そうしてくれたらどんなにいいか。
(でも……そんな期待はしない方がいい)
「奏斗さんと過ごした時間は、本当に幸せでした。ありがとうございました」
 二葉が揺れる感情を押し殺して言うと、奏斗は彼女の体を強く掻き抱いた。
「二葉……っ」
 彼の悲しそうな声を信じて、力強い腕に心を預けたくなる。けれど、そんなことをしてまた裏切られたら、きっと苦しくて耐えられない。もう二度と立ち直れない。
 二葉は声を絞り出す。
「奏斗さん、ちょっと苦しい、です」
「……ごめん」
 奏斗は腕の力を緩めたが、それでも腕を解きはしなかった。
「二葉」
 奏斗は二葉の唇に唇を重ねた。
 押しつけられた唇はなかなか離れない。
 二葉が小さく身じろぎすると、しっとりと触れ合った唇が名残惜しそうに離れた。
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