極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「その彼女……翻訳者だって言ってたな。本とか出してないのか?」
「どうだろう。企業の広報や国際機関の報告書を訳してるって言ってたけど……」
「本じゃなかったら、名前は載ってない可能性もあるな」
 そう言いながらも、功成はスマホを取り出し、オンライン書店のサイトを開いた。検索窓をタップして奏斗を見る。
「彼女の名前は?」
「……自分で検索する」
 奏斗は自分のスマホを出して、オンライン書店のサイトを開き、二葉の名前を検索した。
 だが、残念ながら検索結果は〇件だった。試しにアルファベットで名前を入力して検索してみたが、結果は同じ。
「翻訳者として名前が出るような仕事はしてないんだろうな」
 奏斗は肩を落とした。
「まあ、確かに、うちの会社の広報誌にも翻訳者の名前は載せてないもんなぁ」
 功成がグラスを傾け、氷がカランと音を立てた。彼は友人を励ますように言う。
「まあ、運命の恋ってのは一人じゃ落ちることはできないもんだからな。おまえが運命だと感じたのなら、彼女だってそう思ったはずだ。彼女を信じて連絡を待つしかないだろう」
「……そうだな」
 奏斗はため息を呑み込むように、バーボンを飲み干した。 
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