小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 文恵さんが二冊読み終わった頃には、また小さい子は寝てしまった。

 貸し出しの手続きと返却の手続きをする頃には、子供達も文恵さんに話しかけたりするようになった。文恵さんはお母さんだし、私の気の付かないところまで気が回る。勉強になった。独りよがりになりがちだったことに気付いて、反省した。

「ねえ、美鈴ちゃん今度はいつ来るの?」

「そうねえ。少しだけおやすみするけど、また来るからね」

「やっぱり来週も来てね。寂しいから、絶対だよ」

「うーん。それはちょっと……」

 やだーと言って泣き出す子供。私は抱きしめてあやしたり、手を繋いで話したり。子供は素直だ。大人の顔色をうかがう事をしない年頃の子も多い。文恵さんも苦笑い。

「みんな、美鈴お姉さんが大好きなんだね。これは来週から文恵お姉さんは大変だなあ」

 文恵さんがわざとらしく言う。すると、ひとりの子が言った。

「美鈴お姉ちゃんは折り紙も上手なんだよ。文恵お姉さんは上手?」
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