白い結婚間近の悪役令嬢は、冷酷な死神の溺愛に戸惑う~王太子の後悔は俺だけが知っていればいい~
冒頭部分プロット

第1話

――今は他の人にも見えるのね、死神たちの姿が。

ジエイチア公爵家の長女ローランナがそう思ったのは、部屋にいる皆の表情が一斉に恐怖で歪んだから。
豪奢な王宮内の一室にいるのは国王王妃両陛下に王太子殿下、ジエイチア公爵家とイジェイケ宰相。
そして……
ひと月前に暴動が起きた頃から、イジェイケ宰相のまわりで見かけるようになった死神たち。
彼らの姿は通常であれば人間には見えない。
骸骨型の死神に混じって、ひとりだけ人の姿をした死神がいる。
赤い髪に、赤い瞳。
死神を統べる死神、ラスヴェート。
残酷なくらい美しい表情で微笑んだラスヴェートがゆっくりと、ひとりの男性を指差した。

「このままだと死ぬぞ、お前。確実にな」

その指先は、この国の王太子でローランナの婚約者――ジョルナータへと向けられていた。
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