後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

そう言うと、五十嵐くんは私を見てフッと笑ってから『てことで、8時10分になったら起こして。』と言って目を瞑った。


『えっ!?ちょっと五十嵐く…』


そう言った時にはもう、五十嵐くんは寝息を立てて眠ってしまった。


――私の香りが落ち着く…?


香水とかヘアコロンとか、何もつけてないのに??
強いて言えば、制汗剤と汗ふきシートを適宜使ってるくらい。


そんな私の匂いの、何がそんなにいいんだろう?


よくわからないけど、とにかく五十嵐くんがよく眠れるって言うのであれば、それでいいか…。


――サッカー部の新星とか言われてるけど、いつもプレッシャーを抱えて眠れないほど追い込まれてたなんて、知らなかったな。


サッカーをしている彼はいつもキラキラしていてすごいなって思ってたけど、思い悩みながらプレーしてたのかと思うと、なんだか胸が痛む。

才能ある人はいいよね、とかよく言うけど、五十嵐くんは『チームを立て直す』っていうことに対して責任を感じて、苦しんでたんだ。

才能あるからって、楽な事ばかりじゃないんだね…。

< 21 / 76 >

この作品をシェア

pagetop