後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

「…やった。」


五十嵐くんはそう呟くと、私のお腹の前に右手を回して軽く抱き寄せた。五十嵐くんの引き締まった身体が私の背中にぴったりとくっつく。


そして、五十嵐くんの左手がゆっくりと私の頭を撫で始めた。


「五十嵐くん、私、今日は頭、痛くないよ…?」


そう言うと、五十嵐くんが私の後ろで「そうだった。つい、いつものクセで。」って小さく笑いながら言った。


「…でも、撫でて欲しい。」


私がそう言うと、五十嵐くんの手が一瞬止まった。


「なんだ。撫でてもらうの、嬉しいの?」


ちょっと揶揄うように言われたけど、私は「うん」って正直に答える。


「…今日は素直だな。松田さん…可愛い…。」


――か、可愛いって…。


さっき揶揄われた時とは違う『可愛い』という言葉に、耳まで熱くなるのを感じていると、後ろから静かな寝息が聞こえてきた。

< 36 / 76 >

この作品をシェア

pagetop