後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
次の日。
久々に朝から曇天。
頭が重いのに、嬉しい。
――今日も、朝から保健室に行こう。
来てくれるかな、なんて思ってバスに揺られてる自分がいた。
学校に着くと、グラウンドの方から声が聞こえてきた。
――あ、サッカー部。
サッカーゴール付近に立ってるキーパーの人がチラッと見えたので一目で分かった。
きっと五十嵐くんもあの中で練習してるんだ。
――練習って何時に終わるんだろ。終わった後に来てくれたりしないかな。
期待しちゃ、ダメなのに。
期待しちゃう。
保健室につくと、久保田先生がいた。今朝はゆったりと机に向かっているあたり、忙しくはなさそうだ。
「あら、松田さん。また偏頭痛?」
「はい。」
「薬は?」
「飲んできました。ホームルーム始まるまで横になっててもいいですか?」
「いいわよ〜。アラームは自分でかけておいてね。起こせないかもしれないから。」
「わかりました。」
そう言ってベッドに向かうと、上履きを脱いでリュックを下ろし、布団に入る。
――そう言えば、最初に五十嵐くんに保健室で会った時、このベッドの右半分で寝てたんだっけ。
懐かしくなりながらも、今日は五十嵐くんがいないという事実に少し淋しさを覚える。
――早く会いたいな。
そう期待していたせいか、薬を飲んでいるのにちっとも眠くならなかった。