後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

ふと、中野くんが亜紀の席に向かっているのが気になって目線を動かす。

中野くんは亜紀の席まで行くと、何か話しかけていた。亜紀も中野くんも、顔を赤くしながら楽しそうに話してる。


「お前ら、付き合ってんの?」ってクラスメイトに聞かれた中野くんが「うん、昨日から。」って堂々、交際宣言。


わーってみんなが盛り上がって、クラス中の目線が2人に集中した。


クラスのみんなが2人の方に集まったり、遠巻きに眺めたりしてる。


その様子を、私も遠巻きに見つめた。


「はよ、松田さん。」


ぼーっとしてるうちに、気付いたら五十嵐くんが後ろの席に来ていた。


「おはよ…」


どうしよう。


好きって改めて自覚した途端、朝、挨拶するだけでもドキドキする。


五十嵐くんは背負っていたリュックと部活の大きなバッグを机の上におろすと、そのバッグの後ろから手を伸ばして、私の肩を叩いた。


窓際と、五十嵐くんのバッグの間で、私達は視線を交わす。

バッグの影になってるし、みんな亜紀と中野くんの交際宣言に気を取られてるし、誰にも気付かれていない…はず。


『今日、頭痛は?』


『さっき休んでたから大丈夫。』


『そっ…か。』


自分が期待してしまってるからか、五十嵐くんがちょっと残念そうにしてるように見える。


五十嵐くんは、ちょっと考えるようにして顔を逸したけど、目線だけまた私に戻した。

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