後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

放課後。


帰る準備を済ませると「紗英ー」と亜紀に声をかけられた。


見ると、亜紀と中野くんが2人で私の席まで歩み寄ってきていた。


「ね、今日約束してたクレープ屋さんだけど…中野くんも一緒に行ってもいいかな…?あ!奢りは無しで大丈夫だから。」


「え?」


…なるほど。付き合いたてだもんね。そりゃ2人で行きたいでしょ。


「私は今度でいいから、2人で――」


「それ、俺も行っていい?」


「え?」


振り向くと、五十嵐くんが私達の方を見てる。


「おー!行く?五十嵐、甘いの大丈夫だっけ?」


中野くんは男仲間が増えるかもしれないと思って、ちょっとホッとしているようだ。


「…まぁ、そこそこ。」


五十嵐くんがそう答えると、亜紀が小さく手を叩いて「そうなんだ!じゃあせっかくだし4人で行こうよ!」と言って「ねっ?」と私を見た。


こんな雰囲気になって、断れるワケない。


「うん。行こっか、4人で。」


私がそう言うと亜紀が「わーい!よし、行こー!」と言って先頭を切って教室の扉の方へ歩いていった。


中野くんも、その後ろについて「俺達も行こーぜ」と言って、先に歩いていく。


「五十嵐くん、クレープ好きなんだ?」


私がそう聞いたら五十嵐くんはリュックと部活バッグを背負いながら「いや?甘いのニガテ。」って言う。


「え!?じゃあ何で行くって…」


「松田さんが行くから。」


そう言って私を真っ直ぐ見つめる五十嵐くん。


途端に心拍数が上がる。


――なんでそんなこと言うかな。期待しちゃうからやめて欲しいよ、もう…。


なんて返せばいいか分からなくて「…私達も行こっか。」と言ってスタスタ歩くと、五十嵐くんより先に教室から出た。

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