後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
彩瀬駅に着くと、私と五十嵐くんはそのまま近くのドアから降りて、亜紀と中野くんを待つ。
合流して4人で改札に続く階段を上がっていると、亜紀に「ちょっと、紗英!」と言われたので、耳を傾けた。
『五十嵐くんと、電車の中でやたら距離が近くなかった!?そんなに仲良かったの?』
『いや、たまたま人波に押されただけだよ?』
平静を装ってそう返したけど、亜紀は納得いってないって顔だ。
『そうかなぁ?五十嵐くんの紗英を見る顔はそんな風じゃなかったように見えたけど…』
『気のせいじゃない?』
私はそう言って誤魔化した。
――亜紀から見て、仲良い雰囲気だったってことは…
ダメ。期待しない。
他の人から見て仲が良いように見えたとしても、私が期待している程には仲が深まることはない。
口に出せば期待に繋がる。
――亜紀にすら、五十嵐くんとのことは言えないな…。
なんだか罪悪感を感じながら、まだ首を傾げてる亜紀の横を歩いてお店へ向かった。