後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

4人ともクレープを食べ終え、お店を出ると「俺たち、ちょっと寄り道して帰るわ。」と中野くんが言って亜紀の手を取った。


亜紀はちょっと驚いたように、でも嬉しそうに中野くんを見つめると、私と五十嵐くんに向かって「楽しかったね!また明日〜」と言って、中野くんと2人で駅とは反対の方面へ歩いていった。


そんな2人を手を振って見送った後、


「私達もそろそろ帰ろっか。」と五十嵐くんに声をかけて駅の改札に向かった。


その時。


「松田さん、さぁ。」


そう声をかけられたので立ち止まって振り返ると、五十嵐くんが私のすぐそばまで寄ってきた。

私のことを、至近距離で見下ろしてくる五十嵐くんが、なんだか怖い。


「俺のこと、森元さんに話さないの?」


…?どういうこと…?


「…話さないよ?」


「なんで?」


「なんでって…」



期待したくないからだよ。


亜紀と話したら『絶対それ、五十嵐くんに想われてるってー!』とか言われて期待しちゃうからだよ。



五十嵐くんも私のこと好きかもしれないって思いたくない。

私はただの『添い寝してくれるクラスメイト』なんでしょ?


私がなんて返せばいいか分からなくて黙っていると五十嵐くんから沈黙を破った。

< 62 / 76 >

この作品をシェア

pagetop