後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
ほらやっぱり。
私はただの『添い寝してくれるクラスメイト』にしか、なれない。
経験豊富な五十嵐くんにとって、私に対する『好き』は、添い寝してくれる相手として居続けて欲しいってだけのことだ。
「私も、五十嵐くんに頭撫でてもらうの好きだし。頭痛が早く楽になるから。だから今までみたいに、添い寝するのと頭撫でてもらうのを続けていいよ。」
私も、そうしてもらえると助かるし。って最後に付け加えた。
「…それ、本気で言ってんの?」
五十嵐くんの口調がいつもと違うから、見上げてみると、なんだか苦しそうな、怒ってるような、表情をしていた。
急に怖くなる。
全身が硬直したみたいに動かない。
何も言えなかった。
「…俺、歩いて帰る。松田さん、気をつけて帰れよ。」
そう言うと、五十嵐くんは駅と反対方向に歩いて行った。
五十嵐くんの背中を見ながら、私はしばらくの間、その場から動けなかった。
――失恋、しちゃった。
やっぱり私は、添い寝担当以上にはなれそうにない。
それを確信してしまった。
私は帰りの電車に乗る前に、涙が枯れるまで、泣いた。