後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

――五十嵐くんが付き合う相手の人、誰なんだろ。


前を向いて、教科書に目を通すふりをしながらそんなことを考えた。


トントン、と肩を叩かれて振り向こうとしたら、五十嵐くんが顔を寄せて耳元で話しかけてきた。


『今日きて。俺の部屋。』


「なん…」


なんで?って聞こうとして五十嵐くんを見たら、真剣な目をしてて。


断らせないとでも言わんばかりの空気感。


そんな彼を見てコクッと頷く自分が憎い。


――彼女できたのに、なんでわざわざ私を呼ぶの。


そうだ。こうなったら問い詰めてやるんだから。


彼女いるのに、なんで私を呼ぶの?って。


彼女とは別に、添い寝担当がやっぱり欲しかったんだねって。


経験豊富で、慣れてる人はそういうこと、平気でするんだねって。


私は、なんだかムカムカした気分で、五十嵐くんに向ける言葉を考えていた。


なんでムカムカするか、よくわからないけど、五十嵐くんのことも憎く思えてきた。


明日には終業式があって1学期も終わり。


その後は夏休みに入って、五十嵐くんとしばらく会う事もない。


だからこの際、言いたいこと全部言っちゃえ。


授業中、よく分からない闘志を燃やしながら、放課後を待った。

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