後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
放課後、リュックに荷物を詰めてたら、五十嵐くんが後ろの席から身を乗り出して、私の耳元に口元を寄せ、話し掛けてきた。
『部屋で待ってるから、今からすぐ来て。』
そう言うと、リュックを背負って足早に教室を出ていった。
私も帰る準備を済ませると、駐輪場の奥に向かう。
植木の隙間を通って、寮の建屋の角部屋に近づいた。コンコンと出窓を叩くとカーテンが開いて、五十嵐くんが顔を覗かせる。
嬉しそうにはにかむ五十嵐くんを見たら、さっきまでムカムカしていた気持ちがどこかに行った。
窓を開けて差し出された手を握り、もう片方の手にローファーを持って部屋に入る。
中はエアコンがきいてて、外の熱い空気の方へ冷気がすうっと流れ出る。
私が部屋に入ると、五十嵐くんは私の手からローファーとリュックを受け取って窓側に置き、出窓の鍵を締めた。
室内は電気がついてなくて、陽の光だけで照らされて、ちょっと薄暗い。
五十嵐くんは薄手のカーテンを閉めると、振り向いて私に向き直った。