幸せでいるための秘密
「百合香ー! 波留ー! 久しぶりっ!」
「こないだの結婚式で会ったばっかりでしょ、美咲」
「でもほら、あの時は私が主役だったからそんなにお喋りもできなかったし、やっぱり百合香とは気楽な形で会いたかったし!」
このあいだの豪奢なドレス姿とは違う、カジュアルで可愛い花柄のスカート。
そしてその後ろからひぃひぃ言いながらついてきたのは、美咲の恋人……じゃなくて、旦那さんになった石川達也くん。大学の頃から美咲の尻に敷かれていたけど、その関係はどうやら新婚さんの今も変わらないらしい。
時間が合えば椎名くんが途中参加とのことで、ひとまず四人でケーキ屋さんへ入ることにした。予約の名前を聞かれたときに旧姓の「橋本」を名乗りかけた美咲が、達也くんのほうを振り返り気恥ずかしそうに笑っている。
(ああ、いいなあ。新婚さん)
うっとりする私は完全に外野。店に入っても二人のペースはそのままだった。当然のように隣同士で腰かけた新婚夫婦を前に、私は若干の気まずさを押し隠して波留くんの隣へと座る。波留くんは私をちらと見たものの、特別意識した様子はなかった。
「すごいケーキの数だね、70種類だっけ?」
「そうそう、しかもハズレがないんだって。ねえ達也、とりあえずあのライン全部とって来ようよ」
「マジかよ、そんなに食えるのか?」
「いけるいける! 甘いものは別腹なの、知ってるでしょ?」
喜び勇んで飛び出した美咲を追って、達也くんも苦笑しながら列に並ぶ。
「相変わらずだな」
「そうだね」
囁くようなひとりごとに、私は振り返らず返事をした。
「こないだの結婚式で会ったばっかりでしょ、美咲」
「でもほら、あの時は私が主役だったからそんなにお喋りもできなかったし、やっぱり百合香とは気楽な形で会いたかったし!」
このあいだの豪奢なドレス姿とは違う、カジュアルで可愛い花柄のスカート。
そしてその後ろからひぃひぃ言いながらついてきたのは、美咲の恋人……じゃなくて、旦那さんになった石川達也くん。大学の頃から美咲の尻に敷かれていたけど、その関係はどうやら新婚さんの今も変わらないらしい。
時間が合えば椎名くんが途中参加とのことで、ひとまず四人でケーキ屋さんへ入ることにした。予約の名前を聞かれたときに旧姓の「橋本」を名乗りかけた美咲が、達也くんのほうを振り返り気恥ずかしそうに笑っている。
(ああ、いいなあ。新婚さん)
うっとりする私は完全に外野。店に入っても二人のペースはそのままだった。当然のように隣同士で腰かけた新婚夫婦を前に、私は若干の気まずさを押し隠して波留くんの隣へと座る。波留くんは私をちらと見たものの、特別意識した様子はなかった。
「すごいケーキの数だね、70種類だっけ?」
「そうそう、しかもハズレがないんだって。ねえ達也、とりあえずあのライン全部とって来ようよ」
「マジかよ、そんなに食えるのか?」
「いけるいける! 甘いものは別腹なの、知ってるでしょ?」
喜び勇んで飛び出した美咲を追って、達也くんも苦笑しながら列に並ぶ。
「相変わらずだな」
「そうだね」
囁くようなひとりごとに、私は振り返らず返事をした。