幸せでいるための秘密
 音が響くのと、その声が頬を打つのと、自分がヒートアップして日頃の鬱憤を声に出していたことに気づくのと。

 同時に襲われた私は、思わずフォークを取り落としていた。傍目から見れば美咲の言葉にショックを受けたようにでも見えたのかもしれない。必要以上に狼狽した達也くんが美咲を小声でたしなめている。

「幸せなんだよ。きっと、これが」

 拾ったフォークをナフキンで包みながら、どうってことないような声で笑ってみせる。

 美咲は疑わしげに眉を寄せていたけど、それ以上追求はしてこなかった。達也くんもまた、別の話題を不器用に振ったりして、彼らしい気遣いを見せてくれた。

 波留くんはといえば、二度目だからか話には全く口を挟まず、黙って皿に並ぶケーキを見ていたようだ。ただ、ケーキはどれも一口サイズ以下に細かく断たれていて、見とめた美咲が「お上品な女子じゃん」と笑ってつっこんでいた。
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