没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
『あなたに託すわ。もう売ってしまっていいのよ。ええ。きっと売らなければならなくなるでしょう。この首飾りはしかるべき首飾り。高値で売れるでしょうから必ず信用できる商人を探すのよ。適当な者に売ってはいけないわ。王都にいきなさい。クランドン以外の人間を頼るのよ』

母の死に際の切羽詰まった表情はずっと脳裏に焼き付いている。
あまりにいろんなことを一気に聞かされたから。

まだまだ言わなければならないことはあるのだけど…母はそう言いながら、もう体力がないわと最後に笑った。

『あなたは幸せになりなさい。フィル。きっとあなたには幸せが訪れる。そしてハリーをお願いね』

その後、眠りがちになってしまった母は、三日後に亡くなった。
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