ハイドアンドシーク
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東雲さんとご飯を食べたその日から、わたしも一応それらしい食事をするようになった。
寮長や寮母さんがいれば朝や夜なんかは用意してくれるのかもしれない。
けど自分でおにぎりを握ったり、散歩がてら近くまで買いに行ったりするのもまあ悪くはなかった。
設備の整った食堂はあるから、そのうち手料理に挑戦するのもありかなって思ってる。
──そんな、ある日のこと。
「おい!ブッチがタニシだってよ!」
な、なんて?
なにがなんて?
ハテナが飛んだのはわたしだけだったらしい。
駆け込んできた生徒の興奮が移ったように、その言葉を聞いたクラスメイトたちは一斉に沸き立った。
「おいおいおいマジかよ!」
「つーか来てたんかアイツ」
「場所どこよ?」
「ンなもん行きゃわかるだろ!」
うおおおお、なんて。
次から次へと、雄々しく教室を飛び出していく男たち。
巣を刺激されて特攻するスズメバチみたいだ。