婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 もともと、女性の立場があまりよくない国である。
 さらに他国の人間を嫌い、移民を差別する。
 ここはそんな国なのだ。
「くだらない国だわ」
 思わずそう言い捨てると、エーリヒは同意するように頷いた。
「そうだね。俺もそう思うよ」
 その綺麗な顔を見つめながら、自分達はよく似ているのかもしれないと思う。
 父に支配され、婚約者には軽んじられてきたクロエと。
 自由を奪われ、人格さえ認めてもらえずに、ただ人形のように扱われてきたエーリヒ。
「上等だわ」
 クロエはエーリヒに笑顔を向ける。
 まさに、最下層からのスタート。
 でも、だからこそ闘志がわく。
 ここから這い上がって、自分の手で未来を掴み取ってやろうと決意する。
 どうせギルドに行くのなら魔石をいくつか買い取ってもらおうと、肩掛け鞄に入れておく。
 何の変哲もない鞄のようだが、実はこの中はアイテムボックスに通じている。
(こういうの、ゲームにあったよね)
 そう思って試しにやってみたが、なかなか便利だ。
 それに何も知らない人が見れば、鞄から取り出したようにしか見えないだろう。
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