婚約破棄されたので、好きにすることにした。
(何だか雰囲気が怖いなぁ。ゲームとかだと、もっと初心者大歓迎みたいな感じだったけど)
 現実では初心者らしき者など皆無で、がっちりとした体形のたくましい男ばかりだ。そんな中で、エーリヒのような優美な見かけの者はかなり目立っている。
 しかも女性連れなのでなおさらだ。
(エーリヒ、大丈夫かしら……)
 幼い頃から鍛えられ、剣の腕もたしかだと聞いているが、それも騎士としてだ。
 こんな荒くれ者のような男達に交じって大丈夫なのか、かなり心配になってきた。
「ねえ、エーリヒ」
 無理しなくても大丈夫だからと、告げるつもりだった。
 魔石を売るだけで十分暮らしていけるだろうし、エーリヒが怪我でもしたら大変だ。
 だが、それを言うよりも先に背後から腕を掴まれる。
「きゃっ」
 驚いて振り返ると、おそらく冒険者らしき二人組の男が、値踏みするような視線をクロエに向けている。
「移民の女か。なかなか美人じゃないか」
「冒険者になりたいなら、そんな優男と組むより俺達と行こうぜ。楽に稼がせてやるよ」
 うすら笑いを浮かべてそう言う男達に何か言う前に、エーリヒが割り込んできた。
「クロエを離せ」
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