婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 興味はあったが、残念ながら日に焼けて文字が読み取れない。
 これを貼り続ける意味はあるのだろうか。
(……ないわね)
 気を取り直して、比較的新しい依頼書に目を通す。
(薬草採取とか、本当にゲームみたいね。初心者向けのクエストって感じだわ)
 魔石制作の依頼もあり、なかなか金額が良かったので、今度受けてみようかと思う。
 その後も、色んな依頼書に目を通していた。
「……」
 ようやく背後が静かになったので、クロエは振り向いた。
 あれから気を取り直してギルドの建物に入ったが、またすぐに屈強な男達に絡まれてしまった。やはり実力主義の世界なので、エーリヒのような優美な外見は目立つし絡まれやすい。
 最初は彼も、相手にしていなかった。
 だが先ほどと同じく、男達がクロエに目を付けた途端に豹変し、力技で黙らせること、数回。
 心配していたクロエも、エーリヒは強いから大丈夫だと判断し、こうして依頼書を見て時間を潰していた。
「エーリヒ?」
 心配ないだろうとは思っていた。
 けれど彼の周囲に転がる男達の多さに、思わず声を上げた。
「だ、大丈夫? 怪我していない?」
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