婚約破棄されたので、好きにすることにした。
頷くのが悔しくて顔を反らすと、宥めるように髪を撫でられた。
「本当に、心配したのよ」
「うん。クロエは昔から変わらないな」
優しく慈しむような声でそう言われて、思わず顔を上げる。
「え?」
不思議そうに首を傾げるクロエに、エーリヒは過去を懐かしむように告げる。
「昔から優しかった。よく俺のことを気にかけてくれたから」
「エーリヒのことを?」
クロエの過去は、あやふやにしか覚えていない。
そんなことがあっただろうかと、首を傾げる。
「ああ。俺がまだ見習い騎士だった頃の話だ。異母姉が結婚するからって騎士団に放り込まれたけど、昔は結構軟弱だったからよく死にかけていた。似たような境遇の者ばかりだったから、訓練と称して憂さ晴らしに殴られることも多かった。侯爵家のお嬢様が……。クロエが助けてくれなかったら、本当に死んでいたかもしれない」
過去を思い出すように目を細めて、エーリヒは語る。
「怖くて震えていたのに、俺の手当をしてくれて。これ以上殴られないように、傍にいてくれた」
王女から逃げ出すために、クロエの逃亡に便乗した。
そう言った彼の言葉は嘘ではないのだろう。
「本当に、心配したのよ」
「うん。クロエは昔から変わらないな」
優しく慈しむような声でそう言われて、思わず顔を上げる。
「え?」
不思議そうに首を傾げるクロエに、エーリヒは過去を懐かしむように告げる。
「昔から優しかった。よく俺のことを気にかけてくれたから」
「エーリヒのことを?」
クロエの過去は、あやふやにしか覚えていない。
そんなことがあっただろうかと、首を傾げる。
「ああ。俺がまだ見習い騎士だった頃の話だ。異母姉が結婚するからって騎士団に放り込まれたけど、昔は結構軟弱だったからよく死にかけていた。似たような境遇の者ばかりだったから、訓練と称して憂さ晴らしに殴られることも多かった。侯爵家のお嬢様が……。クロエが助けてくれなかったら、本当に死んでいたかもしれない」
過去を思い出すように目を細めて、エーリヒは語る。
「怖くて震えていたのに、俺の手当をしてくれて。これ以上殴られないように、傍にいてくれた」
王女から逃げ出すために、クロエの逃亡に便乗した。
そう言った彼の言葉は嘘ではないのだろう。