婚約破棄されたので、好きにすることにした。
おとなしい、従順だけが取り柄の女だった。
婚約を解消するなどと言われてしまえば、何としてもその言葉を取り消してほしいと言って、泣いて縋ることしかできないはずだ。
それなのに、あっさりとそれを承知して立ち去ろうとしている。
キリフの怒鳴り声を聞いて、クロエは立ち止まったようだ。
彼女は、キリフの言葉を理解できないと言わんばかりの表情で、首を傾げていた。
「私は殿下のお言葉に従うだけです。殿下が婚約を解消するとおっしゃるのであれば、それを受け入れます」
それだけ告げると、踵を返してその場を立ち去っていく。
「待て! どういうつもりだ!」
誰かその女を捕まえろ、と怒鳴ったつもりが、なぜか声が出なくなった。
(何だ? 何が起こった?)
驚いて何とか声を出そうとしたが、掠れた息のような音が漏れるだけだ。何が起こったのかわからずに、パニックになって暴れたような気がする。
気が付けば、王城にある自分の部屋に寝かされていた。飛び起きて、声が出ることを確認してほっと息をつく。
冷静に考えてみれば、あの感覚には覚えがあった。
(……カサンドラか?)
婚約を解消するなどと言われてしまえば、何としてもその言葉を取り消してほしいと言って、泣いて縋ることしかできないはずだ。
それなのに、あっさりとそれを承知して立ち去ろうとしている。
キリフの怒鳴り声を聞いて、クロエは立ち止まったようだ。
彼女は、キリフの言葉を理解できないと言わんばかりの表情で、首を傾げていた。
「私は殿下のお言葉に従うだけです。殿下が婚約を解消するとおっしゃるのであれば、それを受け入れます」
それだけ告げると、踵を返してその場を立ち去っていく。
「待て! どういうつもりだ!」
誰かその女を捕まえろ、と怒鳴ったつもりが、なぜか声が出なくなった。
(何だ? 何が起こった?)
驚いて何とか声を出そうとしたが、掠れた息のような音が漏れるだけだ。何が起こったのかわからずに、パニックになって暴れたような気がする。
気が付けば、王城にある自分の部屋に寝かされていた。飛び起きて、声が出ることを確認してほっと息をつく。
冷静に考えてみれば、あの感覚には覚えがあった。
(……カサンドラか?)