婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 そして、北方にあるジーナシス王国出身の女が産んだ、サリバという十五歳になる息子だ。
 アレクサンダは長男ではなく、このサリバに侯爵家を継がせたいと思っていた。
 理由は母親の血筋だ。
 サリバの母親は魔力を持っていて、簡単な治癒魔法を使うことができる。さらに、その祖先には魔女もいたらしい。
 大陸の最北端にあるジーナシス王国は、もっとも魔女が多い国である。
 現在も、あの国には数人の魔女がいるという噂だった。
 アレクサンダは魔女の末裔である女に子どもを産ませて、その血脈を侯爵家に取り入れようと考えていた。
 その目論見は成功し、息子のサリバは母親の血筋を受け継いで、僅かだが魔力を持っている。
 この息子と、この国の唯一の魔女である王女カサンドラが結婚すれば、その子どもが女であった場合、魔女となる可能性が非常に高い。
 だから国王陛下は、第二王子のキリフを侯爵家で引き取ってくれるのであれば、カサンドラを降嫁させても良いと約束してくれたのだ。
 王族が、ふたり揃ってひとつの侯爵家と婚姻を結ぶのは異例のことだ。
 だが国王陛下も魔女の誕生には期待を寄せていた。
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