婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 小言ばかり言う家庭教師を三人ほど、言葉が出ないようにしてやったあと、カサンドラに逆らう者はいなくなった。
 さすがに父には叱られたが、もともと父は、アダナーニ王国の王家に魔女が生まれたことを、とても喜んでいた。
 だからあまり強く言うことはなく、むしろ娘の力がどれほどのものなのか、見極めようとしているような状態だった。
 高位の貴族にさえ力を使わなければ、父が怒ることはない。
 そう学んだカサンドラは、下位貴族や王城で働く者達に対しては、わがままに振る舞った。
 そんなとき、騎士になっていたエーリヒと再会した。
 成長した彼は、思わず言葉を失って見惚れるほどの美貌だった。
 今度こそ、自分の手元に置きたい。
 強くそう思った。
 もう邪魔者だったクラーラはいない。
 彼女は去年、結婚をしている。
 公爵家を継ぐために婿を迎えたらしい。クラーラよりも年上の地味な男だと聞いて、カサンドラは盛大に祝ってあげたのだ。
 カサンドラはすぐに彼を近衛騎士に命じて、自分の傍に置くことにした。
 騎士だった頃、彼はとても人気があったらしい。
 あれほどの美貌なのだから当然かもしれない。
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