婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 何が起こったのかまったくわからず、不安が胸に広がっていく。
 こんなに不安になったのは、魔女になってから初めてだった。
 この国には、カサンドラですら叶わない、得体のしれない何かがいるのかもしれない。
 カサンドラは、震える両手を握りしめた。
 エーリヒ、と小さくその名を呼んだが、答える声はなかった。


第二章

 エーリヒが外出したあと、クロエはひとりで宿に残っていた。
 今日は天気が良くて、窓から見上げる空も綺麗な青色だ。外を歩いてみたら、きっと気持ちも晴れるだろう。
 でもその前にやらなければならないことがあった。
「うーん」
 クロエは、エーリヒに買ってきてもらった大きめの鏡を覗き込み、思案する。髪色と瞳の色を変えたほうがいいと言われてから、どう変えたらいいのかずっと考えていた。
(何色がいいかな。やっぱり馴染みのある色がいいかも?)
 黒髪に、少し茶色の黒い瞳。
 顔立ちは違うが、前世と同じ色にしてみた。
 目を瞑って、そうなった姿を想像してみる。
(ちゃんと変わっているかな?)
 もし失敗したら、外出することができなくなってしまう。
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