婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 魔女と言われたら恐ろしいが、聖女や賢者ならば怖くはない。
 ほっとして、エーリヒを見上げる。
「それで。この国の王女様が、私と同じ魔女なの?」
「……そうだ」
 王女のことを口にすると、エーリヒは心底嫌そうな顔をして頷く。
 よほど嫌いだったらしい。
 それでも魔女に関して、知る限りのことを教えてくれた。
「王女はこの国の長い歴史の中で生まれた、初めての魔女だ。そのせいで力のコントロールもろくに学ばず、わがままに過ごしている。あんな魔女なら、いないほうがよかったと言われているくらいだ」
「そんなに?」
 思っていたよりもずっと、王女はひどい女だったらしい。
(考えてみれば、あのキリフ殿下の異母妹(いもうと)だもの。血は争えないってことかしら)
 せめて遠目でしか見たことのないこの国の王太子が、まともな人間であることを祈るばかりだ。
「私自身が今まで魔法が使えることを知らなかったんだから、当然、お父様やキリフ殿下も知らなかったって言うことよね?」
「そうだ。それでよかったと思うよ。もしクロエが魔女だとわかったら、どんな目に合ったことか」
「……うん。私も、そう思う」
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