婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 そして先ほどエーリヒが言っていたように、魔導師が使うのはほとんどが攻撃のための魔法である。だから魔力のある者は国に召し抱えられることが多い。
「この国には、魔導師は五人しかいないのね?」
「ああ。その魔導師も全員、国に仕えている」
「五人って、少ないほう?」
「この大陸ではかなり少ないほうだな。そのせいで、北方から妻を迎える貴族が多い」
「そういえば私の異母弟の母親も、そうだと聞いたわ。ふたりとも一度も会ったことがないけれど」
 異母弟はわずかに魔力を持って生まれたと聞いた。
 兄は異母弟の存在を敵視していたらしいが、そんな事情では、残念だが兄よりも異母弟のほうが有利かもしれない。
(まぁ、私にはもう関係ないけれど)
 父の後継者が誰になろうと、クロエには関係ない。
「それで、魔女っていうのは、魔法が使える女性のこと?」
「いや、魔女というのは魔導師とはまったく別の存在だ。まず、魔力が魔導師とは桁違いに多い」
「多いの? 私も?」
「おそらく。魔女の魔力はあまりにも多すぎて、同じ魔女しかわからないらしいよ」
「そうなんだ……」
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