婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 不思議に思って手のひらを見つめてみたが、まだ自分ではまったくわからない。
(本当に魔力があるのかな?)
 そんなに大きい力なら、かえって恐ろしいくらいだ。
「それに、魔女に呪文や術式は必要がない。願っただけで、それを叶えてしまうからね」
「願っただけで?」
 それは、本当に魔法のようなことだ。
「何でも叶うの?」
「魔女にも限界はあるから、何でも叶えられるということではないらしい。でも、クロエの力はかなり強いと思う。まだ目覚めたばかりなのに、王女の魔法を吹き飛ばしている」
 当たり前だが、限界はあるようだ。
 それでも攻撃魔法と治癒魔法しか存在しない世界で、願うだけである程度叶えてしまう魔女の存在は、ほとんどチートだ。
「願うだけで叶うって、ちょっと怖いわ」
「本当は、魔力を込めて言葉にすると、それが叶えられるらしい。だから、少し思っただけで魔法が発動することはないよ。ただクロエはまだ目覚めたばかりで、制御できないのかもしれない」
「そう。ちょっと安心したわ。でも、今は迂闊に何かを願うべきじゃないわね。うーん、何とかして魔力を制御しないと」
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