婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 アイテムボックスは便利で嬉しい機能だが、変なことを願ってしまったら大変なことになる。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ。ただ、不安定な時期は、相手の不幸を願うと叶えやすいらしい。王女がかなり酷かった」
 クロエなら大丈夫だと思うが。
 エーリヒはそう言って笑う。
 彼が魔女に詳しいのも、その王女の魔法に対抗する術はないか、必死に探した結果らしい。
 かなり苦労したようだ。
(もう、そんな王女の手になんか渡さないから。エーリヒは、私の相棒だもの)
 そう決意したところで、ふと思い出す。
 あれは、婚約解消を言い渡されて屋敷から逃げ出そうとしていたとき。あのとき、父と婚約者だったキリファに、負の感情を抱いてしまった気がする。
「どうしよう。私、父とキリファ殿下の不幸を願ってしまったかもしれない」
「ふたり?」
「お兄様も、かもしれない。みんな禿げてしまえばいい。一生、薄毛に悩めばいいって、願ってしまって……」
 そう言うと、一瞬唖然としたエーリヒが、次の瞬間には声を上げて笑い出した。  
「そ、それは……」
「もしかして、叶ってしまったかしら?」
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