婚約破棄されたので、好きにすることにした。
「……クロエ?」
 隣で眠っていたエーリヒも、目を覚ましたらしい。
 目覚めはあまり良くないようで、まだ少しぼんやりとしたような眼差しでこちらを見つめている。
(イケメンは、寝起きも綺麗なのね)
 思わず感心してしまう。
 寝室が一緒なのは家の構造上仕方がないとはいえ、大きめのベッドがひとつしかないのは、さすがに問題だった。
 でもエーリヒはこれでいいと譲らなかった。
「今さら恥ずかしがるような仲でもないだろう」
「いや、そういう仲だから。いつのまに私達、そんな関係になっていたの?」
 そんな問答をしたことが、もう懐かしい。
 エーリヒは店でとても寝心地の良いベッドを、それもかなりお手頃な値段で売っているのを見つけて、どうしてもそれが欲しかったらしい。
 たしかに睡眠は大切だ。
 結局クロエも、一度寝てみたらその寝心地に夢中になってしまって、結局一緒に寝ることを承諾してしまった。
「もう少し寝ていてもいいよ。朝ごはんを作ってくるから」
「クロエが作ってくれるのか?」
「うん。簡単なものだけどね」
 感激した様子のエーリヒに笑顔を返して、クロエはキッチンに向かう。
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