婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 そうやって毎回フォローをしていたら、いつのまにか惚気ていると思われてしまった。エーリヒも無愛想だが、妻だけは溺愛している夫になってしまっている。
 本当の夫婦ではないのに、いつのまにか近所でも評判のラブラブ夫婦になってしまったのだから、何とも不思議なものだ。
 しばらくは、他愛もないお喋りを楽しんでいた。
「あ、あれってもしかして、魔石?」
 友人のひとりが、リビングに置かれていた魔石を見て声を上げた。
「ええ、そうよ。エーリヒが買ってくれたの」
 何気なくそう言うと、友人たちから歓声が上がる。
「えっ?」
 理由がわからずに首を傾げると、友人のひとりが教えてくれた。
「魔石って宝石よりも高価だから、結婚指輪の代わりとしても人気があるの。でも、これが買える人はなかなかいないのよね」
「あれだけ美形で、しかも魔石を買えるくらいの資金があって、しかも妻以外の女性には目もくれないなんて、本当に素敵ね」
 うっとりとそう言われて、クロエは戸惑いながらも微笑む。
(そういえば、最初の魔石は意味のあるものだって言っていたような気がする……。まさかね)
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