婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 ひと息入れたら、また魔法の勉強をしようと思う。
(そういえば……)
 ふとクロエは、目覚める寸前に見ていた夢を思い出す。
 エーリヒに抱きしめられていたことがあまりにも衝撃的で、忘れてしまっていた。
(あの人が、魔女だっていう王女様なの? だとしたら、ひどすぎるわ)
 あの若い侍女は無事だろうか。
 あれだけ血が流れてしまっていたら、傷痕が残ってしまうかもしれない。
(ちゃんと治るといいな。どうか、綺麗に治りますように)
 ひそかに祈ったクロエの願いは、本人はまったく気が付かなかったが、わずかに魔力を帯びていた。


第三章

「魔法の実践をしてみたいの」
 この日。
 朝食を終えたあと、エーリヒに今日の予定を聞かれたクロエは、力強くそう宣言した。
 魔石の作成もかなりの確率で成功するようになり、それなりの数を用意することができた。魔法の練習をするには充分だろう。
 そう思って魔法書も何冊も読み、知識も得ることができた。
 あとは実践のみ。
「そうだな。知識も充分に得たようだ。あとは実際に使ってみるのが一番だろう」
 エーリヒも、すぐに同意してくれた。
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