婚約破棄されたので、好きにすることにした。
「それが不思議だと思っていた。キリフ殿下は、はっきり言ってしまえば王家の血を引くということ以外、それほど価値がないからね」
「……はっきり言いすぎるような気もするけど、たしかに」
 アダナーニ国王には、子供が四人いる。
 正妃の子供は王太子の長男と、まだ十歳の三男。そして第二王子のキリフと魔女のカサンドラの母は、それぞれ違う側妃である。
 側妃ではあるが、カサンドラの母は他国の王家の血を引く女性である。
 それほど王位に近い血筋ではないらしいが、もし産後まもなく亡くなっていなければ、魔女を産んだ功績で正妃になっていたのではと噂されていた。彼女を娶るときに、王家はかなりの支度金を用意したらしい。
 たいしてキリフの母は伯爵家の娘であり、実家の権力もそれほど強くはない。それを考えるとむしろキリフのほうが、クロエとの結婚で得るものが大きかったはずだ。
「でもあの人は……。父は、その王家の血が欲しいんじゃないかな?」
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