好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~

第2話

 部屋へと戻り、荷を纏める私。
 思えば色々とあったものです。

 ……でもま、いっか!
 
 途端に、背中に感じる視線。その先に居たのは、私の妹。
 腹違いの妹であるボルディでした。

「あら? どうかしたの?」

「お話は、既に聞きました。しかしながらお姉さま! これでよろしいのですか? 何故平然と家を出ていこうと出来るのです!? ボルディには委細わかりませぬ!!」

 目に涙を浮かべながら、当然の疑問を口にする我が異母妹。
 確かに、彼女にとっては突然の出来事。
 納得のいく話しではないのかもしれません。
 そう、予想外とはまさにこの事なのでしょう。彼女にとっては。

 そんな彼女に私も努めて優しく声を掛ける事にしました。

「よく聞きなさい。本妻との血の繋がりのない妾の子として生まれた以上、家の為にならないのならばいつかはこうなるのが運命。ただそれだけの事」

「最初からわかっていたと。そう、おっしゃるのですか?」

「そう、全ては必然。そう思って受け入れなさい」

 努めて優しくと決めたはず。ですが姉としての、先達としての厳しさが含まれていたかもしれません。

「彼が私を愛さないというのならば仕方がないわ。
元々が浮いた話の絶えないお方でしたから」

「なんと!? そうだったのですか?!」

 驚いて目を見開くボルディ。
 彼女は純粋です。人を疑うということを知らない、せめてそれを教えるべきだったかもしれませんが、思わず蝶よ花よと誰もが育ってしまった結果。

 しかし、その純粋さが羨ましくもあって。

 常に物腰が柔らかく、落ち着きのある彼女とて驚くことを止められない。それも仕方がありません。
 そんな彼女には、素直でいて欲しい。それが最後の、姉の願いでした。
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